自民党総裁選考=なぜ「谷垣降ろし」なのか(No1526)

  永田町は党首選一色だ。9月21、22、26日と3日にわたり、民自公3党の党首選挙が行われるが、民主党の野田首相の再選も公明党の山口代表の3選も固いとあって、興味の焦点は乱戦模様の自民党総裁である。事実上の次期政権の首相候補を決める選挙であると言われているが、谷垣禎一総裁の続投を阻止する「谷垣降ろし」が始まっているそうだ。先号に書いたが「トンビに油揚げを攫われそうだ」というのである。

  半年も前だが、政治評論家の岩見隆夫氏のコラムが「おろすのがすきですね」と永田町の政治慣習である「降ろし」を取り上げているが、その頃から「9月の総裁選で谷垣の再選ゼロ」という報道があったそうだ。野田首相も「ボコボコやられている」とぼやいていたが、大敵の小沢一郎元代表を追い出し、再選は固いと見られている。

  さて「谷垣降ろし」は、谷垣が3日、出身派閥である古賀派の古賀誠会長と会談し、再選について協力を要請したが、古賀は「今回は若い人を支持する」と出馬辞退を促したというのである。谷垣は「(政権復帰に向けた)最後の詰めは、私自身の責任でやらなければならない」と強調。古賀の後ろ盾がなくても出馬する意向だが、再選の道のりは一段と厳しさを増したとされている。

  ところが谷垣を支持しないのは、古賀だけでないようだ。これまで再選を支持する意向を表明していた森元首相も2日のテレビで「谷垣氏は限界。私の気持ちが変わった」と明言したのである。理由は谷垣が森や古賀の意向を無視して野党7党の提出した野田首相の問責決議に同調したことだが、根底にあるのはそうではないようだ。

  マスコミによると、「派閥長老連合による谷垣降ろしの動きが鮮明になった」というのだが、谷垣が古賀の支持を得られなかったのは、総裁として党役員人事や党運営で古賀ら派閥領袖の声に耳を貸そうとしなかったためだと言われている。古賀は「若い人」といったが、領袖たちの「ポスト谷垣」は石原伸晃幹事長ではないかと言われている。石原はこれまで政局の節目で古賀や伊吹派会長の伊吹文明元幹事長らの意見を聞く配慮を欠かさず、重鎮たちにとって御しやすいと見られているからだという。派閥長老連は意気軒昂で、古賀は3日のテレビ番組で「どんなに偉い人でも1人の力は限られている。派閥はそれなりの役割を果たしてきた」と嘯いたそうだが、自民党は相変わらず派閥が横行しているようだ。     

  一方、谷垣は派閥の支持がなくても出馬する中央突破の構えだという。今国会中の解散は無理なようだが、秋の臨時国会には野田首相も解散に応じると見られている。民主党に政権を奪われた苦境の自民党で総裁を3年間も務め、毎年一つずつ、鳩山内閣と菅内閣を倒し、野田内閣が倒れるのも時間の問題である。政権復帰目前まで持ってきたのは谷垣の実績である。自民党最長老の中曽根元首相は「いま選挙をやれば自民党が勝って谷垣君が首相になる可能性が強い。彼は批判もあるが、純粋でいい首相になると思うよ」と認めている。

  それにしても安倍元首相にしろ町村元官房長官にしろ、政権復帰が近くなったら、油揚げを攫おうとのこのこ出てきたトンビではないのか。自民党復権のために何をしたのか。それどころか小泉後の自民党政権を民主党に政権を明け渡した戦犯ではないのか。ようやく政権復帰する自民党に返り咲こうとは図々しい話である。総裁選出馬には国会議員20人の推薦人確保が必要だ。古賀派の支持なしで旧谷垣派だけでは20人に満たないと言われているが、古賀ら派閥エゴ丸出しの長老たちに反発し、谷垣へ同情が集まっていると言われているが。

   


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