なぜ、米国は日本をTPPに誘うのか(No1416)

  「国論を二分」する論議となったTPP参加問題だが、参加を表明するはずの野田首相が決定を一日延期したのである。首相の参加する意向は変らないと言われており、民主党内の強い反対に考慮したのと、11日の衆参予算委で行なわれるTPP集中審議で野党の追及をかわすのが延期の狙いだと言われている。
  それにしても米ホワイトハウスは、日米首脳会談を準備して野田首相歓迎の姿勢を示しているが、なぜ、米国は日本をTPPに熱心に誘うのか。TPPを日本市場開放を狙う第二の「年次改革要望書」にするためだといわれているのである。
  
  そもそも、日本でTPP参加の論議が始まったのは、訪米してオバマ米大統領からTPP参加を誘われた菅首相が、昨年10月、所信表明演説で「TPP参加を検討する」と表明したからである。
  以来、民主党や自民党では党内に賛成論と反対論があり、官庁でも農水省は消極的だが、経済産業省は積極的だ。業界では農業団体や医療団体が反対だが、経団連は賛成である。いまや「国論を二分」した形で論議が沸騰しているが、民主党では「離党も辞せず」とする反対派があり、党のTPP検討プロジェクトチームも、首相の慎重な行動を求める提言を行なっている。

  TPPは今年11月12,13両日、ハワイ・ホノルルで開かれるAPECに合わせて、オバマ大統領がTPP交渉に参加する9カ国の首脳会合を主宰して交渉の大枠合意を目指すことになっているが、野田首相は日本のTPP交渉参加をAPECで表明する考えと言われている。
  TPP参加に反対する自公両党と社民党など野党は、野田首相のAPECでのTPP参加表明に反対する決議案を衆院に提出したが、衆院議運委であっさり否決されてしまい、野党の声は幾ら大きくても、しょせんは無力な「犬の遠吠え」にすぎないことが明白になったようだ。
  
  一方、米ホワイトハウスの発表によると、APECに合わせて、12日昼(日本時間13日午前)、日米首脳会談が行なわれ、野田首相がオバマ大統領に対し、TPP交渉参加の方針を伝え、大統領が日本参加を歓迎する段取りになっているという。両首脳は日米同盟の深化に向け意見を交換し、普天間基地の移設問題や米国産牛肉の輸入制限緩和などを話し合うスケジュールまで決めているという。これでは野田首相が「イエス」と言うようにする米国の無言の圧力といえる。

  また米国議会が日本のTPP参加に重大な関心を払っているという。米上院のボーカス財務委員長(民主)や米下院のキャンプ歳入委員長(共和)ら4人の有力議員が、米政府のTPP窓口を担当する米通商部のカーク代表に書簡を送り、「日本がTPPに参加した場合、規模が劇的に大きくなり、一段と複雑な交渉になる」と強調。あらゆる決定について議会や利害関係者と密接な事前協議を行なうよう求めているという。
  
  書簡は、「日本は長期間、国内市場を閉ざしてきた」と指摘し、交渉に入る前に、米政府の想定する基準に沿う形で日本が市場開放を準備しているかを確認すべきだとしている。具体的な貿易障壁が存在する分野として、自動車、農産品、牛肉、保険分野などを上げているという。これを見ても、米議会がTPPの網の中に捕らえた日本を料理しようと身構えているのが分かるというものだ。

  それにしても、思い出すのが、小泉政権時代に騒がれた日米間の「年次改革要望書」である。これは1993年の宮沢首相とクリントン大統領の日米首脳会談で決まった外交文書を毎年、交換するというものだが、その内容は、農業、自動車、建築材、流通、エネルギー、金融、投資、弁護士、医薬、医療、情報通信など10分野にわたる日本市場の規制緩和や行政改革などを要求するもので、米企業の日本市場参入を企てるものであった。

  小泉内閣の郵政民営化が「年次改革要望書」の米国の要求だったので、「外圧」とか「内政干渉」と騒がれたが、鳩山内閣から停止されている。TPPに日本を参加させる米国の狙いは、第二の「年次改革要望書」の復活ではないのかと言われている。

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