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zoom RSS 報道しない無責任(No1671)

<<   作成日時 : 2013/08/18 12:04   >>

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  今年も「終戦の日」を迎えた。68回目になる。私は終戦時、北海道に住んで空襲に遭うこともなかったので、突然の敗戦に驚いた。それまでは、子ども心に戦争は勝つと思っていた。ラジオも新聞も敗けそうだという報道はなかった。新聞社も放送局も敗戦することを知っていたが報道しなかったことを、戦後聞かされた。弾圧があって報道できなかった。真実を報道しようとした新聞は発行禁止になり、新聞記者は憲兵や特高警察に逮捕されたからだ。

  だが新聞やラジオが真実を報道していたら、戦争は早期に終わり、原爆や大空襲の惨劇を免れたであろう。戦後、被害者づらしているが、報道する責任を放棄したしメディアは、結果的には戦争協力者となったことを、同じ過ちを繰り返さないためにも自覚しなければならない。報道しなかった無責任は裁かれねばならない。いままた懲りずに、報道しない無責任が繰り返されようとしているからだ。

  50年以上前の話だが、期せずして、大特ダネを拾ったことがある。首都圏の或る市で市内の全町会長が市長に招待された。その席で半年後に改選になる市長選挙の候補者として、同市出身の県教育委員が紹介された。その時の市長が引退するので後進を推薦したわけだ。

  これは選挙の事前運動ではないか。しかも現職市長が全市の町会長を巻き込んだ大規模な選挙違反だ。駈け出し記者は支局長に相談して記事にした。翌日の朝刊一面を3段で、「市長選の事前運動」の記事が飾った。ところが、朝日、毎日、読売3紙にも地元紙にも全く記事が出ていないのに驚いた。記者クラブでは各社が知っていたからだ。

  他社はベテラン記者だったが、書かなかったのか、ボツになったのか。各紙の後追い記事も出なかった。書いた記者は翌日から記者クラブで白い眼で見られた。市役所の秘書課長から「先輩に恥をかかせた」と嫌みを言われた。市長が記者の大学大先輩だったからだ。警察は動かなかった。市長が全町会長を招待して慰労することは恒例の行事だったからだ。市選挙管理委員長である市の助役(現在の副市長)は「違反ではない」と発表したが、これを報道したのも我が社だけであった。報道しない無責任が選挙違反を堂々と見逃したのである。

  翌年の市長選挙では、件の県教育委員が当選したことは言うまでもない。ただその後、法律が改正され、選管委員長には自治体の三役(市長、助役、収入役)を充てることが出来ないことになった。政治的解決である。

  最近、マスコミで気になるのは、肝心な時に必要な報道が出ないことだ。例えば、東電福島原発から汚染水が大量に海に流れ出ていることだ。参院選中には記事にならず、終わってから、「1日約300トンが流出している」との政府発表が記事になった。原発再稼働は参院選の焦点であった。新聞やテレビは分かっていても報道しなかったのではないかと疑われている。

  内閣法制局長官の人事もそうだ。集団的自衛権の行使は憲法違反とする従来の法解釈を改めようとする安倍政権の陰謀だと言われているからだ。これまでの人事のルールを変える方法で起用した新長官は集団的自衛権の行使を容認する外務官僚である。年内にも有識者懇談会から容認すべきとする報告書が出される見通しだ報道されている。

  これなども、参院選が終わるのを待って、内閣が発表したものだが、安倍首相は早くから、この人事を固めていたと今更の如く報道されている。これも参院選の焦点となった憲法改正論議である。
  これも「知っていて記事にしなかったのではないか」と疑われている。疑問に答えている新聞もあるが、「私たちはこの数字までは事前に突き止められなかった」とか、「私たちの取材が不十分だった」と弱弱しい言い訳だ。

  しかし答えるのはましで、ほとんどは無視しているが、こんなことを繰り返していたら、戦前の徹を踏むことになりはしないか。戦前の新聞やラジオは、「大本営発表」を垂れ流した。気が付いたときには、原爆を落とされ大空襲を受け、非戦闘員の国民が80万人も殺された。しかもメディアはGHQの圧力に屈して戦後も7年間も、原爆と大空襲のあった事実を報道しなかった。

  メディアの取材方法にも欠陥がある。取材は記者クラブ制度に縛られて、中央省庁のニュースやデーターは発表する記者クラブ以外で手に入らないからだ。マスコミも記者クラブ居ればニュースが向こうからやってくるのだから取材に歩かなくて済むから、これほど楽なことはない。しかしこれでは政府の思うままだ。しかも内閣は記者クラブやメディアの編集幹部の接待に大量の官房機密費を使っている。

  メディアは腐敗堕落している。報道の自由を自ら放棄しているに等しい。今、メディアが報道する責任を全うしないと、憲法改正も原発再稼働も既成事実がなし崩し的に積み重ねられ、気が付いたら、また戦争に巻き込まれるような大変なことになるのではないか。報道しない無責任は国民により厳しく追及されなければならない。

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