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zoom RSS 待たれる最高裁の決断(No1600)

<<   作成日時 : 2013/03/29 10:44   >>

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  ついに「選挙無効」の判決が出た。昨年の衆院選は”違憲ラッシュ”となった。全国14の高裁と高裁支部で起こされた16件の訴訟は、東京や札幌、金沢などの14件が「違憲」となり、そのうちの広島と岡山の2件が「選挙無効」とされ、残り名古屋と福岡の2件も「違憲状態」であった。「選挙無効」となった選挙区の代議士は失職し、選挙のやり直しをしなければならないが、全てをひっくり返して「合憲」とするか。それとも全てを「選挙無効」とするか。国権の最高機関である国会と対決する最高裁の決断である。

  違憲の論理は、憲法14条の「すべての国民は、法の下に平等であって、差別されない」と、44条の「国会議員の選挙の平等」に照らして、投票価値が不平等である。「一票の格差」がある。本来、選挙区の有権者の数が同じであって平等なのだが、衆院選挙区画定審議会設置法による許容範囲は、「2倍未満」とされているが、昨年の衆院選は、選挙区の有権者数の差が最大2・428倍もあり、2倍を超えた選挙区が72もあったのである。現在はさらに格差が2・52倍となり、2倍以上の選挙区は97選挙区に広がっている。

  最高裁は2011年、09年の衆院選について最大2・305倍の「一票の格差」を理由にして、「違憲状態」とする判決を言い渡したが、「一票の格差」の病根が、「一人別枠方式」にあることを指摘し、この方式の廃止を求めていた。この方式は300ある衆院小選挙区のうち、47都道府県にまず1議席ずつ割り当て、残り253議席を人口に応じて振り分ける仕組みである。
  1996年に中選挙区から現行の小選挙区比例代表制へ移行するに伴い、「過疎地の民意が軽視されないように」という配慮から導入されたと言われている。人口比例による配分では将来的に、人口が集中する大都市の議席が増え、保守地盤の地方が過疎化して議席が減る傾向に対する党利党略的配慮であったことは明白である。

  これまでも最高裁は76年と85年の2回、選挙を「違憲」とする判決を下しているが、格差が4・4倍から5倍もあったにも拘わらず、違憲でも選挙は有効とする「事情判決」の法理論を作り、凌いだのである。
  その理論は、選挙を無効とした場合、大きな政治的混乱が予想され、それを回避するためにはやむを得ない、とするものだが、最高裁が国権の最高機関である国会に対して自ら抑制したのである。何故なら、憲法41条が「国会は、国権の最高機関である」として、立法、司法、行政の三権のうち、国会を裁判所と内閣より上の最高の地位に置いているからである。
  
  今回の14件の「違憲判決」のうち、12件は「事情判決」を適用して、「選挙無効」を退けたが、広島と岡山では、違憲だから選挙も無効だとされ、「事情判決」が適用されなかったのである。判決によると、「投票価値の平等に反する状態を容認する弊害に比べて、政治的混乱が大きいとはいえない」と判断したからだ。
  「事情判決」については異論もある。「”公共の福祉に著しい影響を及ぼす場合には、憲法違反の国家行為も無効ではない”という余りにも乱暴な理屈である」と批判している元最高裁判事もいる。16件はいずれも、最高裁に上告されており、早ければ9月にも最高裁の判断が示されると見られている。

  さて高裁の状況を見るとき、最高裁が全部ひっくり返して「合憲」とすることはあり得ないことだが、いまさら「違憲」を否定するのも無理な状況ではあるまいか。やはり判例により「事情判決」を持ち出して、「違憲」でも選挙は有効するが、速やかに「違憲」の解消を勧告するのが、国会に対すると同時に高裁の「選挙無効」に対する、精一杯の抵抗ではあるまいか。
  最高裁がこのような態度だから、政治から舐められる。国会は「一票の格差」の解消と見せかけて、以下のように、誤魔化しの改正しか行わない。こんな国会を許して、最高裁は憲法の番人たりうるのか、と言う厳しい声もある。  
  
  国会では、昨年の国会解散直前に、「一票の格差」解消するとして「0増5減」の選挙法改正を成立させており、後は小選挙区の区割を見直す法案の早期成立を期するだけだが、このほど勧告された区画見直し案によると、17都県42選挙区を見直し、人口最多の東京新6区と最少の鳥取新2区の一票の格差は1・998倍で2倍以内に収まったが、首都圏を中心に格差が2倍に近い選挙区が多く、依然として「一票の不平等」は解消されていないとされる。
 
  札幌高裁は「最高裁判決の指摘に沿った改正とは質的に異なる」として「0増5減」の法改正を批判している。法律上は「一人別枠方式」を削除したが、事実上は同方式が温存されているからだ。人口最少の鳥取県を全県一区とせず、定数2を維持して、山梨、福井、徳島、高知、佐賀の5県の定数をそれぞれ一つずつ減らすにとどめた。一票の格差は2倍以内に収まったが、抜本的改革を見送ったのである。
  「一人別枠方式」を完全に廃止して人口比例で議席を配分すると、「21増21減」となり、現在25議席ある東京都が30議席になるなど、都市部の議席数が大幅増えて地方との格差が大きくなるからである。

  一票の格差を巡っては異論もある。人口比例を厳密にすると、過疎化する地方の議席が減るから政治家が少なくなり、地方が政治から切り捨てられると懸念する声がある。政治家が心配するのは選挙区である。
  昔、田中角栄元首相が、人口に面積を加味した選挙制度を作るべきだと主張していたそうだ。人口比例だけだと地方に政治の恩恵が行きわたらなくなると言うのだが、列島改造論を引っさげて首相になり、裏日本と表日本の格差解消を目指した政治の天才、田中氏ならではの発想である。
  
  米国の国会は日本の参院、衆院と同じく上院と下院の2院制である。下院は人口比率により選挙区の区割りが決まっているが、上院は人口の多少にかかわらず、50州から各州2名の議員が選ばれいる。各州の代表である。一票の格差は問題外である。
  日本の2院制は米国とは、似て非なるものである。衆院と参院も人口比例により構成されている。一票の格差も同じように問題にされる。その機能も役割も区別がないから、参院不要論があるのもうなずける。参院の「一票の格差」是正も「4増4減」が行われたが、夏の参院選後には、全都道府県で「選挙無効」の訴訟が起きる。またもや「違憲ラッシュ」になる、と言われている。
  

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内 容 ニックネーム/日時
情報数学グラフ理論上、3権分立は嘘、三位一体3身即一が正しい。
ハミング距離1は誤りチェックすら不能な密接不可分な国家構成要素‥
今の司法はマタイ5−37による根巣鳥臼覇/景況感がもんじゅ事故予見の秘密仏教の時代の好敵手名残?
思考実験形而上のあの世?精神世界で相互に牽制との政経受験勉強でしたが‥形而下現物のハードウェア構築不能が大学講義‥
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2013/03/30 20:39

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