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zoom RSS アルジェリア人質テロ事件:自衛隊に何ができるのか(No1575)

<<   作成日時 : 2013/01/25 18:50   >>

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  日本政府は何ができたろうか。アルジェリアのテロ事件で人質になった日本人10人が殺害されたが、日本政府も人質を捕られた日本企業も何もできず眺めているだけだった。安倍政権は自衛隊法を改正してテロと一戦交えん意気込みだが、行き過ぎると大怪我のもと。軍事評論家は「海外のテロ事件で自衛隊にできることはなかったし、今後もない」と断言するが。

  それにしても、「ここは地の果アルジェリア」と昭和歌謡の「カスバの女」で歌われたアフリカの地の果で何故、大勢の日本人が人質になり死ぬような事件が起きたのか。事件の背景を知る必要があるようだ。
  アルジェリアは1962年、フランスから独立後は、インドなどと共に、積極的中立主義、平和共存、反植民地主義を掲げる非同盟運動をけん引して国際社会で活躍しているが、国内はイスラム原理主義の「武装イスラム集団」によるテロが頻発している情勢にあった。

  1月16日早朝、アルジェリア・イナメナスの天然ガス精製プラントを襲ったのも、「イスラム聖戦士血盟団」というアルカイダ系武装勢力だった。同プラントはアルジェリアの国営企業とイギリスとノルウエーなどによる合弁会社が経営しているが、年間生産量が90億立方もあり、アルジェリアのガス生産量の10%以上もあり、アルジェリアの軍隊に守られているミリタリーゾーンであった。
  化学プラント建設に実績のある日本企業の「日揮」は1969年からアルジェリア各地で数々のプラント建設に参加しており、このプラントにも参加していた。

  急襲した武装集団は、警備していたアルジェリア軍兵士と交戦し、アルジェリア人150人とアメリカ人7人、日本人10人、フランス人2人、イギリス人2人、アイルランド人1人、ノルウエー人13人などを含む外国人41人を人質として拘束した。犯行グループは、フランス軍のセルヴァレル作戦の停止、政府に逮捕されているイスラム過激派メンバーのお釈放を要求したという。

  アルジェリア軍は直ちに犯行グループが立てこもる施設を包囲し、17日、ヘリコプターで空爆するなど作戦行動を開始。21日にはアルジェリア軍特殊部隊が現場に突入し制圧したという。
  アルジェリア政府によると、この戦闘で685人のアルジェリア人労働者と107人の外国人が解放されたが人質の中から死者も出た。セラル首相は、8か国の外国人人質37人と武装勢力29人が死亡したと発表した。またサイード情報相は、過激派が人質を連れてマリ北部に逃げ込むのを防ぐためにやむを得ない行動であったと説明した。
  

  日本人は10人死亡したが、7人は無事だった。全員が日揮の職員だった。報道によると、犯行グループは日揮の幹部とイギリス企業の幹部の会合を狙ったものと分かった。犠牲になった日揮の職員は、いわゆる海外で活躍する企業戦士であった。
  
  だが日本政府の海外における邦人保護はどうなっているのか。個人旅行でもビジネスでも政府はいちいち関知しないのが常識だ。政情不安とかテロなどの危険が伴う国々については、外務省が「海外危険情報」を出し注意を喚起や渡航延期を呼びかける。ちなみに事件現場のイナメナスは最も危険度の低い「十分注意」だった。今回の事件後、「退避勧告」へ一気に引き上げたが、事前に危険を察知できなかったのは外務省の情報不足だろう。怠慢と言えるかも。

  ジェトロの調査によると、アフリカに進出した日本企業の9割が「政治的・社会的安定」を問題にしている。日本政府の支援についても47%が「情報提供」を求めている。
  テロのような海外の軍事情報を収集するのは、防衛省から在外公館に派遣されている防衛駐在官だ。現在、36大使館と2機関に49名配置されているが、アフリカにはエジプトとスーダンの一人ずつしか配置されていなかった。菅官房長官が「必要性を感じている」と遅まきながら前向きな姿勢だが。

  安倍政権が飛びついたのが自衛隊法の改正だ。かねて海外での武器使用の権限拡大を主張していたからだが、さっそく石破幹事長が「単なる輸送ではなく救出まで行うために武器仕様の抑制に配慮した法案はできている」と述べている。
  これは現行の自衛隊法が海外の邦人輸送が現地の安全が確保される場合に限られ、自衛官の武器使用にも制限があるが、これを現地の安全性を問わず自衛隊を派遣し、武器使用の権限も自衛官に与えるというものに改正するというのだ。

  これまでも自民党は海外紛争や事件が起きると、自衛隊の行動を拡大しようとする動きがあったが、今回も積極的な発言をしている。
  だが海外の紛争に邦人救出を名目で自衛隊が他国の現場に介入することが認められるだろうか。アルジェリア政府も認めなかったと思う。この発想はテロや紛争に日本自体が巻き込まれる危険がある。それよりも危機に陥る前に在外邦人を帰国させるなど予防措置を講ずるのが常識だ。
  

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